認知機能に良い食事はあるのか?

 『魚を食べると頭が良くなる』、『ミョウガを食べると物忘れする』などという迷信を聞いたことありますか?科学的根拠のない迷信ではありますが、

脳に良い食べ物ってあるの?認知機能を高める食事っ実際は何?

そんな疑問を抱いた方もいるでしょう。今回は、認知機能を高める食事、栄養について探ってみます!

 地中海食は、野菜、果物、豆類、魚、全粒穀物、ナッツ、オリーブオイルなどを多く摂り、魚介類を適度に肉類を控えるのが特徴です。
 2025年のメタ解析では、地中海食への高い遵守が、認知障害・認知症・アルツハイマー病などの加齢関連認知障害リスク低下と関連していました。

引用元
van den Brink AC, Brouwer-Brolsma EM, Berendsen AAM, et al.
The Mediterranean, Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH), and Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay (MIND) Diets Are Associated with Less Cognitive Decline and a Lower Risk of Alzheimer’s Disease—A Review.
Advances in Nutrition. 2019;10(6):1040–1065.
PMID: 30689586

 MIND食は、「地中海式食事法」と高血圧予防の「DASH食」を組み合わせた食事法です。2023年のNEJMに掲載された3年間のランダム化比較試験では、MIND食群と対照群の間で認知機能変化に明確な差は示されませんでした。
 食事は大切ですが、「これを食べれば認知症を防げる」と単純に言えるものはありません。

引用元
Agarwal P, Natarajan L, Leurgans SE, et al.
Trial of the MIND Diet for Prevention of Cognitive Decline in Older Persons.

New England Journal of Medicine. 2023;389:602–611.

 フィンランドのFINGER試験では、認知機能低下リスクのある高齢者を対象に、食事指導、運動、認知トレーニング、血管リスク管理を2年間組み合わせた介入が行われました。


 「生活習慣改善グループ」と「対照グループ」との結果、認知機能テストのうち、「記憶」の成績については両グループにさほど差はありませんでしたが、「実行機能」と「処理速度」は、生活習慣改善グループのほうが成績が著しく向上しました。
 対照グループは認知機能低下のリスクが生活習慣改善グループより約1.3倍高いことも分かりました。
 この研究によって、生活習慣を総合的に見直すことは認知機能低下を抑制する効果があることが分かりました。

引用元
Ngandu T, Lehtisalo J, Solomon A, et al.
A 2 year multidomain intervention of diet, exercise, cognitive training, and vascular risk monitoring versus control to prevent cognitive decline in at-risk elderly people (FINGER): a randomised controlled trial.

The Lancet. 2015;385(9984):2255–2263.

 2017年の日本人高齢者研究では、食品摂取の多様性が認知機能低下の予防因子となる可能性が示されました。2023年にも、食事多様性が高いほど要介護認知症リスクが低い可能性が報告されました。
 毎日いろいろな食品を食べることが、認知機能低下リスクの低くする可能性が示されました。
 偏らずにいろいろ食べることが大切ですね。

引用元:Otsuka R, Nishita Y, Tange C, Tomida M, Kato Y, Nakamoto M, Imai T, Ando F, Shimokata H.
Dietary diversity decreases the risk of cognitive decline among Japanese older adults.
Geriatrics & Gerontology International.2017;17(6):937-944.
DOI: 10.1111/ggi.12817PMID: 27380888

 栄養は認知機能に関係する可能性が示唆されています。ただ、特定の食品やサプリメントに頼るのではなく、食事全体の質、多様性、継続が大切です。
 認知機能を支える食事は、特別なものではなく、魚、野菜、豆類、果物、主食、たんぱく質を偏りなく取り入れ、運動し、社会と繋がり、睡眠をとる。
食事だけでなく、生活習慣の見直しと継続が大切ですね。