認知機能を知る

最近の『ちょっと気になる・・・』は、脳と身体からのサインかもしれません。

 物忘れ、集中力の低下、会話の中で言葉が出にくい、外出がおっくうになる。
その変化を、年齢のせいにるのではなく、脳と身体の習慣を見直すきっかけにしましょう。

認知機能とは、“日常生活を自分らしく続ける力”です。

認知機能というと難しく聞こえますが、日常生活ではこんな力として現れます。

認知機能日常生活での例
記憶約束や予定を覚えておく
注意力料理中に火を見ながら別の作業をする
判断力買い物や予定を決める
遂行機能段取りを考えて行動する
空間認知道順や位置関係を把握する
言語機能言いたい言葉を思い出して会話する

 ちょっとした物忘れだけで『認知症だ』と、決めつけがちですが、認知機能は14の機能に分けられるとも言われています。不安や焦りを感じてしまう前に、落ち着いて低下した機能に対してトレーニングすることが有益です。

 一方で、1つ2つの認知機能の低下だけで日常生活ができなくなることはないため、ご本人やご家族が気付くまでに時間を有する場合もあります。

最近の“ちょっと気になる”チェック

このチェックは、認知症を診断するものではありません。
最近の変化に気づき、必要に応じて相談や生活習慣の見直しにつなげるための目安です。

各項目について、最近3〜6か月の様子を思い出して選んでください。
「ほとんどない=0点」「ときどきある=1点」「よくある=2点」で自動計算されます。
1. 人の名前や物の名前がすぐに出てこないことが増えた
2. 約束や予定を忘れることがある
3. 同じ話や質問を繰り返していると言われる
4. 置き忘れや探し物が増えた
5. 最近あった出来事を思い出すのに時間がかかる
6. 買い物に行って、買う予定だったものを忘れることがある
7. テレビや本の内容が頭に入りにくくなった
8. 料理中や作業中に、別のことをすると混乱しやすい
9. 会話中に話の流れを見失うことがある
10. 以前より集中が続きにくい
11. 予定や用事が重なると、頭がいっぱいになりやすい
12. 家事や仕事の段取りに時間がかかるようになった
13. 外出前の準備に手間取ることが増えた
14. 支払い、手続き、予約などが面倒に感じる
15. 予定を立てたり、順番を考えて動いたりするのが苦手になった
16. 以前なら迷わなかったことを決めるのに時間がかかる
17. 会話中に「あれ」「それ」が増えた
18. 言いたいことはあるのに、言葉が出てこない
19. 話す内容がまとまりにくいと感じる
20. 人との会話が少し疲れるようになった
21. 電話や対面でのやりとりを避けたくなることがある
22. 慣れた道でも少し不安に感じることがある
23. 駅や建物の中で方向が分かりにくくなった
24. 駐車、階段、段差、曲がり角などに以前より気を使う
25. 外出するのがおっくうになった
26. 新しい場所に行くことへの不安が増えた
27. 以前楽しめていたことに興味がわきにくい
28. 人と会う機会が減った
29. 何かを始めるまでに時間がかかる
30. 眠りが浅い、または日中ぼんやりすることが増えた
31. 身体を動かす機会が減った
32. 「年齢のせいだから仕方ない」と思うことが増えた
33. 家族から「最近忘れっぽい」と言われた
34. 家族から「同じことを何度も聞く」と言われた
35. 以前より怒りっぽい、落ち込みやすいと言われた
36. 身だしなみや片付けへの関心が減ったと言われた
37. 生活リズムが以前と変わったと言われた
38. 家族が本人の変化に少し心配を感じている
チェック結果
0
気になる項目を選択すると、ここに目安が表示されます。
※このチェックは、認知症やMCIを診断するものではありません。
点数が高い場合でも、睡眠不足、ストレス、うつ状態、薬の影響、聴力・視力の低下、体調不良などが関係していることがあります。
一方で、点数が低くても、本人やご家族が強い違和感を感じている場合は、早めに医療機関や地域包括支援センターなどへ相談してください。

 私たちの脳は、身体の動きや五感からたくさんの情報を受け取りながら働いています。

・歩く。立つ。バランスを取る。
・見る。聞く。触れる。匂いを感じる。味わう。
・人と話し、周囲の変化に気づき、身体を使って行動する。

こうした日常の一つひとつが、脳にとって大切な刺激になります。

まずは、今日できる小さな一歩から。

 認知機能トレーニングに、特別なことをいきなり始める必要はありません。
大切なのは、日常の中で 「身体を動かす」 「頭を使う」 「五感を使う」 機会を少しずつ増やすことです。今日できそうなものを選んでみませんか?

  • 10分だけ歩く
  • イスからゆっくり立ち座りする:5回
  • 片足立ちでバランスを取る:左右10秒ずつ
  • 足踏みをしながら腕を振る:1分
  • 昨日の夕食を思い出す:3つ
  • 今日の予定を声に出す:1日の流れを確認
  • 100から7ずつ引いてみる:できるところまで
  • 買い物リストを見ずに思い出す:3つ
  • 季節の花や空の色を見る:1つ見つける
  • 好きな音楽を聴く:1曲
  • 食事の味や香りを意識する:ひと口目だけでもOK
  • 手で素材の感触を感じる:10秒
  • いつもと違う道を歩いて景色を観察する:見つけたものを3つ覚える
🌱

できない日があっても大丈夫。

焦らず、責めず、また一歩。

小さな習慣の積み重ねが、
“まだ良くなれる”につながっていきます。

ご家族が感じた『少しの違和感』も、大切なサインです。

「最近、少し忘れっぽくなったかも」
「外に出る機会が減った気がする」
「前より元気がないように見える」

 そんなご家族の気づきは、とても大切です。
本人は、自分の変化に気づいていても、不安や恥ずかしさから言い出せないことがあります。

だからこそ、責めるのではなく、一緒に確認することが大切です。

① 責めずに聞く

「なんで忘れるの?」ではなく、
「最近少し気になることある?」と聞いてみる。

② できていることを見る

できないことだけでなく、
今もできていること、続けられていることに目を向ける。

③ 一緒に小さく始める

散歩、会話、食事、予定の確認など、
日常の中で一緒にできることから始める。

 大切なのは、できないことを探すことではなく、これからできることを一緒に見つけること。 その小さな関わりが、本人の安心と「まだやれる」という気持ちにつながっていきます。