認知機能は全て低下するわけじゃない

~低下しやすい機能と維持されやすい機能を知ろう~

テレビを見ていて『あー、ほら!この人!えっと、名前なんだったっけ?!』

「さっき、近所の人に会ったんだけど……名前が出てこないのよ」

名前を思い出せない、そんな変化に気づくと、

「認知機能がどんどん低下しているのでは…」と不安になることがあります。

しかし実際には、認知機能はすべて同じように低下するわけではありません。

加齢に伴い低下しやすい機能もあれば、維持されやすい機能もあります。

今回は、その違いについて分かりやすくご紹介します。

処理速度とは、『脳が情報を理解し、反応するスピード』のことです。

例えば、
・周りの人の会話を聞いて、何のどんな話をしているかを理解する
・お店までの距離と歩く速度を計算して、家を出る時間を決める
・状況を把握して、どう動くべきかを判断する

といったことです。年齢とともにゆっくりになることが知られてます。


注意力とは、必要な情報、対象に意識を向ける力です。

例えば、
・運転中の信号や標識を見る
・会話聞きながら意見を考える
・夕飯のメニューに合わせて歩きながら商品を選ぶ

といった場面で使われます。

特に、「二つのことを同時に行う力(デュアルタスク)」は加齢の影響を受けやすいと言われています。


新しい事、情報を覚える力も、年齢とともに変化しやすい機能の一つです。

例えば、
・新しく出会った人の名前
・先日したばかりの約束
・2日前の出来事

などです。一方で、昔の思い出は比較的保たれることがあります。

長年の経験から得た知識は、比較的維持されやすいことが分かっています。

例えば、
・趣味の知識、スキル
・仕事の経験、スキル
・人生経験

などです。認知機能が低下しても大工仕事が得意な方もいます。


人は年齢を重ねても、言葉そのものの意味や語彙は維持されやすい傾向があります。

そのため、人生経験を活かした会話や助言ができる方も多くいます。


会話やコミュニケーションを楽しむ力は、環境によって維持しやすい機能です。

家族との会話や社会参加は、認知機能への良い刺激にもなります。

認知機能の変化を見るとき、私たちはつい「できなくなったこと」に目を向けてしまいがちです。

そうした力もたくさん残っています。認知機能を考えるときに大切なのは、失ったものを数えることではなく、残っている力を活かすことです。